1952 新日本空調の株主優待「2つの特徴」
まず最初に新日本空調に投資すると貰える株主優待の特徴として、下記の2つを確認しておきましょう。
新日本空調の株主優待「2つの特徴」
・カタログギフト2,000円相当
・2年継続保有でQUOカード1,000円相当
いずれの株主優待も新日本空調に300株以上投資したときに貰えるもので、権利落ちは3月と9月で異なります。
QUOカード(9月権利落ち)は2年以上の長期保有者向けの株主優待です。株主優待を受け取るための条件も本パートでチェックしておきましょう。
その1:カタログギフト2,000円相当
新日本空調に300株 投資すると株主優待にカタログギフト2,000円相当が貰えます。
こちらのカタログギフトは震災後の復興支援として、被災地の特産品が一部選定されています。社会貢献の一環として株主優待の内容を決められていることも素晴らしいですよね。
2024年に配布された選べるギフトカタログのほんの一部を紹介すると、北陸復興支援企画として「新潟小町 いもジェンヌの蒸しどら」や「白えびとほたるいかのシーフードカレー」、「白玉ゼリー詰め合わせ」、「加賀かきもち素焼き」などが掲載されていました。
また、東北復興支援企画としても「岩手県産 ひとめぼれ」や「ホテルニューオータニ バウムクーヘン」、「函館ラーメン」、「果実のめぐみ そのままゼリー」、「有明海産 味付海苔詰め合わせ」などが掲載されていました。
カタログギフトの権利落ちは3月で、6月下旬に届きます。
その2:2年継続保有でQUOカード1,000円相当
新日本空調の株式を2年継続保有した株主には、株主優待としてQUOカード1,000円相当が追加で貰えます。
2年継続保有とは、3月31日および9月30日の株主名簿に同一の株主番号で5回以上継続して記録された株主のことを指します。
QUOカードの権利落ちは9月で、12月上旬に届きます。
1952 新日本空調に投資するつの理由」
筆者が新日本空調への投資を検討した理由は、下記の5つです。
新日本空調に投資する「つの理由」
・半導体工場のクリーンルームが業績に追い風
・自己資本比率55%と高く、財務が健全
・配当利回りが高く、増配余地も大きい
・株主優待が年2回貰える
・定期的な自社株買いに期待できる
本記事の内容は、僕が投資判断を下した理由(記録)であり、投資助言や投資推奨などの意図は一切ありません。そのため、投資判断はご自身で下すようにしてください。
その1:半導体工場のクリーンルームが業績に追い風
新日本空調に投資する1つ目の理由は、半導体工場のクリーンルームが業績に追い風だからです。
新日本空調は、空気の質や温度を正確に管理する設備を作る会社です。半導体工場に欠かせないクリーンルーム(空気を綺麗にし、温度や湿度が管理された部屋)の空調設備の工事を行っています。
日本では半導体製造を行う新工場が続々と建設されており、それら工場のクリーンルームを新日本空調が手がけています。
実際に2021年以降は受注工事高が順調に増えており、前年対比で+10%前後のペースで順調に増えていることが確認できます。
このように日本国内で半導体製造工場が新設されることは、新日本空調の業績にとって追い風であることが分かります。
その2:自己資本比率55%と高く、財務が健全
新日本空調に投資する2つ目の理由は、自己資本比率55%と高く、財務が健全だからです。
2024年5月期の有価証券報告書を確認すると、資産性の高い項目を挙げると下記の通りです。
現金預金:136億円
投資有価証券:272億円
受取手形・完成工事未収入金等:650億円
→合計1058億円
136+272+650 = 1,058
負債を差し引いた自己資本は655億円もあり、時価総額が800〜850億円ほどの企業としてはかなり潤沢な資金を保有していることが分かります。
個人的には投資有価証券の中に含まれる政策保有株式に注目しており、政策保有株式の売却資金の使い道に期待したいとこです。
保有する有価証券について、中期経営計画「SNK Vision 2030 PhaseⅡ」では下記の方針を示されています。
[政策保有株式に関する方針]当社は、良好な取引関係の維持・連携強化を図るうえにおいて、当社の企業価値の向上を実現する観点から、必要と判断する企業の株式を保有することがあります。こうした株式の保有については、取締役会で個別銘柄ごとに保有目的、取引状況、保有リスクを勘案しつつ、便益性と資本コストを総合的に検証し、保有または売却の要否を判断しておりますが、今後2025年度末までには、2022年度末比で、20%の削減を目指してまいります。
投資有価証券の売却プランは下記のように記されています。
・2024年3月期:-4%(実施済み)
・2025年3月期:-8%(実施予定)
・2026年3月期:-8%(実施予定)
2022年3月期の有価証券報告書には投資有価証券を212億円保有していると書かれているので、2025年と2026年それぞれに約17億円のキャッシュが発生することが分かります。
投資有価証券×年8%分の売却=キャッシュ
212*0.08 = 16.96
個人的には、この有価証券の売却資金を配当金や自社株買い、株主優待に使われることを期待しています。
2024年3月期の配当金支払額が約20億円なので、この売却資金が配当金に回った時のインパクトはかなり大きくなりそうです。
その3:配当利回りが高く、増配余地も大きい
新日本空調に投資する3つ目の理由は、配当利回りが高く、増配余地も大きいからです。
株価3,500円、DPS(1株配当金)120円、EPS(1株利益)350円を元に計算した新日本空調の配当利回りは3.5%ほどとなります。(配当性向だと34%前後)
DPS(1株配当金)÷株価*100=配当利回り
120/3500*100 = 3.42857
中期経営計画「SNK Vision 2030 PhaseⅡ」には株主還元の基本方針として、2025年3月期からはDOE(株主資本配当率)5%を下限とし、2030年3月期までは累進配当を継続するといった内容が書かれています。
新日本空調の配当金の推移を銘柄スカウターで確認すると、下記の通りです。
2013/03 20.00 円
2014/03 20.00 円
2015/03 25.00 円
2016/03 25.00 円
2017/03 40.00 円
2018/03 45.00 円
2019/03 50.00 円
2020/03 70.00 円
2021/03 70.00 円
2022/03 75.00 円
2023/03 80.00 円
2024/03 100.00 円
2025/03(予) 120.00 円
ちなみに更に過去の配当政策を振り返っても、2008年以降は配当金の維持・増配を続けていることから累進配当に対する信頼性もかなり高いと言えます。
DOE(株主資本配当率)とは、株主資本に対して一定割合(新日本空調だと5%)の配当金を支払うことです。
そこで、2024年3月期のBPS(1株純資産)は2868円を元にDOE 5%でDPS(1株配当金)を計算すると143円となります。
BPS 2868円×DOE 5%=DPS
2868*0.05 = 143.4
つまり、新日本空調の株主資本に大きな変動がない限りは、2025年3月期は大幅な増配が行われる可能性が高いと考えられます。
補足として株主資本が減少するようなケースは、下記の原因が挙げられます。
株主資本が減少する要因
・業績の赤字
・自社株買い
・資産価値(有価証券など)の変動
新日本空調は半導体工場のクリーンルームの需要継続から更なる業績拡大が期待できることを踏まえると、日本株が暴落して保有する政策保有株式の評価額が大きく下がるといったことがない限りは、2025年3月期も増配となりそうです。
その4:株主優待が年2回貰える
新日本空調に投資する4つ目の理由は、株主優待が年2回貰えるからです。
新日本空調の株主優待は3月と9月で内容が異なり、下記の通りです。
・3月の権利落ち
カタログギフト2,000円相当を配布
・9月の権利落ち
2年継続保有した株主のみ、QUOカード1,000円相当を追加
いずれも300株以上の保有が条件なので優待利回りは0.28%前後とそれほど高くありません。
・株主優待取得に必要な投資資金
3500*300 = 1,050,000
・新日本空調の優待利回り
3000/1050000*100 = 0.28571
株主優待を貰うには300株以上を保有する必要があることから、その条件に達している個人投資家も少なく、販管費に占める株主優待の維持コストの割合も0.2%とかなり低くなっています。
そのため新日本空調の株主優待が廃止または改悪のリスクは比較的低いと言えるでしょう。
その5:定期的な自社株買いに期待できる
新日本空調に投資する5つ目の理由は、定期的な自社株買いに期待できるからです。
先に紹介した通りで新日本空調は資本コスト改善にむけて積極的に動いている企業です。
保有する投資有価証券を2024年には2022年比で-20%削減すると発表しており、2025年と2026年にそれぞれ約17億円のキャッシュが発生することが想定されます。
新日本空調が過去に行った自社株買いを銘柄スカウターで確認すると下記の通りです。
新日本空調が行った自社株買い
2015年:8.2億円
2016年:未実施
2017年:未実施
2018年:20億円
2019年:未実施
2020年:4億円
2021年:未実施
2022年:未実施
2023年:15億円
2022年3月期の有価証券報告書には投資有価証券を212億円保有していると書かれているので、2025年と2026年それぞれに約17億円のキャッシュが発生することが分かります。
投資有価証券を売却して発生したキャッシュが自社株買いなどに使われることがあるような大きなインパクトに繋がりそうです。
1952 新日本空調に投資する前に知りたい「2つの懸念」
新日本空調の株主優待が魅力的とは言え、貰える株主優待の価値以上に株価が下落してしまっては全く意味がありません。
そこで本パートでは、新日本空調に投資する前に知っておきたい2つの懸念について調べました。
新日本空調に投資する前に知りたい2つの懸念
・株主還元の拡充は難しく、上値が重いかも
・売上高はほぼ成長していない
その1:株主還元の更なる拡充は難しく、上値が重いかも
新日本空調は配当方針の拡充や政策保有株式の売却方針などを明確に示しており、資本コストの改善に向けてお手本のような企業と言えます。
ですが逆に言うと、既に発表済みの素晴らしい内容の株主還元を超えるようなサプライズはここ数年で出る可能性は低いとも言えます。
株式市場では株式が期待で売買されるため、既に発表済みの株主還元については株価に折り込んでいるケースが多いため、この材料だけで株価が更に上昇する可能性は低いかもしれません。
その2:売上高はほぼ成長していない
新日本空調の業績を銘柄スカウターで確認すると、利益は順調に伸びている一方で、売上高はほとんど成長していません。
銘柄スカウターで新日本空調の業績を2007年から2024年にかけてどれくらい成長しているかを指数チャートで確認すると下記の通りです。
売上高 営業利益
2007年 100 100
2024年 120 842
2007年の業績を売上高・営業利益ともに100とした場合、営業利益は約8.4倍に成長している一方で、売上高は1.2倍にしか成長していないことが分かります。
営業利益率はというと2007年は約1%だったものが2024年には7.2%まで上昇しており、毎年のように稼ぐ効率性が向上していることが分かります。
とは言え、営業利益率の向上だけで利益を伸ばすのには限界があります。やはり利益の元となる売上高を増やさないことには継続的な成長が難しいため、売上高の成長率の低さは課題と言えそうです。
カタログギフトが貰える優待株「3選」
新日本空調の株主優待は魅力的ですが、ここではカタログギフトの株主優待が貰える他の銘柄も確認しておきましょう。
カタログギフトが貰える優待株「3選」
・7164 全国保証
・1377 サカタのタネ
・3003 ヒューリック
色んな株主優待銘柄をチェックして視野を広げることで投資の判断力も高まります。そこで本パートでは株主優待でカタログギフトが貰える3つの銘柄を確認しておきましょう。
その1:7164 全国保証
株主優待でカタログギフトが貰える1つ目の銘柄は、7164 全国保証です。
全国保証は住宅ローンの保証会社で営業利益率が70%を超える高収益なビジネスモデルが特徴です。
株式100株以上を保有する株主に向けて株主優待を配布しており、下記の通りです。
全国保証の株主優待
・1年未満:QUOカード 3,000円相当
・1年以上:QUOカードまたはカタログギフト 5,000円相当
全国保証の株主優待の魅力は長期保有による優待拡充までの期間が短いことと、1年継続保有後はQUOカードとカタログギフトを好みで選択できることです。
例えば、コンビニで買い物することが多い人はQUOカードを選んでも良いですし、食品が欲しい時はカタログギフトを選ぶといったこともできます。
カタログギフトを貰うには1年継続保有という条件があるものの、使い勝手の良いQUOカードとカタログギフトのいずれかを選択できることが魅力の株主優待です。
株主優待の権利落ちは3月です。
その2:1377 サカタのタネ
株主優待でカタログギフトが貰える2つ目の銘柄は、1377 サカタのタネです。
サカタのタネに投資すると株主優待として継続保有期間に合わせたカタログギフトが貰えます。
サカタのタネのカタログギフト
1年以上:Aコース 1,500円相当
5年以上:Bコース 3,000円相当
注意すべきは、1年未満の保有期間ではカタログギフトの株主優待がもらえないことです。
株主優待の権利落ちは5月です。
その3:3003 ヒューリック
株主優待でカタログギフトが貰える3つ目の銘柄は、3003 ヒューリックです。
ヒューリックの株式300株を2年以上継続保有するとカタログギフト6,000円相当(3,000円相当×2個)の豪華な貰えます。
豪華である理由は、ヒューリックのカタログギフトでは品物の価値を元に6,000円相当(3,000円相当×2個)と定めており、カタログギフトの販売価格を元に計算すると8,000円相当(4,000円相当×2個)になるからです。
ヒューリックのカタログギフトは「リンベル サターンコース」です。こちらをリンベルの公式サイトで確認すると販売価格は4,000円、その内訳は「本体3,000円+システム料1,000円」と書かれており、「株主優待の価値=品物の価値」であることが分かります。
ですが株主優待を配布する多くの企業は、カタログギフトとしての販売価格3,000円を元に株主優待を決めているため、「株主優待の価値=カタログギフトの価値(システム料も含む)」となります。
話をまとめると。ヒューリックのカタログギフトの価値は、実際の「品物の価値」を元に計算されているため、カタログギフトを配布する他の企業と比べて豪華な内容となっています。
株主優待の権利落ちは12月です。
1952 新日本空調の株主優待「2つの注意点」
最後に新日本空調に投資すると貰える株主優待の注意点を確認しておきましょう。
新日本空調の株主優待「2つの注意点」
・優待利回りは低い
・QUOカードは2年長期保有株主のみ
その1:優待利回りは低い
新日本空調の株主優待は魅力的な内容ではあるものの、300株保有が条件になることから優待利回りは低くなります。
株価3500円を元に計算した優待利回りは0.28%と低く、下記の通りです。
・株主優待の獲得に必要な投資
3500*300 = 1,050,000
・優待利回り
3000/1050000*100 = 0.28571
このように新日本空調に投資して株主優待を貰うには約100万円の投資資金が必要であることと、株主優待の利回りは低い部類であることを把握しておきましょう。
その2:QUOカードは2年長期保有株主のみ
新日本空調の株主優待でQUOカードを貰うには2年以上の継続保有が必要になるので注意してください。
2年以上の継続保有とは、同一株主番号で3月と9月の権利落ちで5回以上記録された株主のことを指します。
株式を売却して買い戻すと株主番号が変わることで、継続保有期間もリセットされてしまうので注意してください。