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【株主優待】9869 加藤産業に投資する3つの理由「自社特製ジャム3,000円相当が貰える優待株」

疑問をもつネコ
加藤産業に投資すると自社特製ジャムが貰えるみたいだけど、ポートフォリオに組み入れた方が良い銘柄なのかな?株主優待の特徴についても詳しく知りたいな。

9869 加藤産業の株主優待を知る「2つの特徴」

まず最初に加藤産業に投資すると貰える株主優待の特徴について2つ紹介します。

加藤産業の株主優待「2つの特徴」
自社商品のジャム2,700円相当が貰える
ジャムの賞味期限は6ヶ月ほど

その1:自社商品のジャム3,000円相当が貰える

加藤産業に投資すると自社商品であるジャム3,000円相当が貰えます。

具体的には「GREEN WOOD手造りジャム」という商品で、こちらの特徴は果実を糖と果汁のみで煮詰めて家庭で作ったようなジャムです。

保有株数によって貰える株主優待の内容が異なり、下記の通りです。

・100株/ジャム3,000円相当
いちごジャム(320g)
ブルーベリージャム(320g)
オレンジマーマレード(320g)

・1,000株/ジャム5,000円相当
いちごジャム(320g)
ブルーベリージャム(320g)
オレンジマーマレード(320g)
株主優待 特別限定品(320g)
ピーナッツバター種子島産粗糖使用(150g)

一般的なジャムだと1つあたり125gくらいの商品が多いため、株主優待で貰えるGREEN WOOD手造りジャムは2倍以上のサイズ感であることが分かります。

株主優待の権利落ちは、3月末です。

※補足ですが2023年12月23日に1,000株保有する株主向けの株主優待の拡充がありました。近年は株主優待を廃止する企業も増えていますが、この拡充が行われたことで加藤産業の株主優待は継続性と言えるでしょう。

その2:ジャムの賞味期限は6ヶ月ほど

加藤産業の株主優待で貰える「GREEN WOOD手造りジャム」の賞味期限は約6ヶ月間です。

株主優待を貰って食べ切るまでのスケジュールは下記の通りです。

権利落ち:3月末
発送日 :6月上旬頃
賞味期限:当年12月頃

100株保有でも合計960g(320g×3個)ものジャムが届くので、これらを6ヶ月以内に食べ切れるようにしましょう。

9869 加藤産業の株主優待「2つの注意点」

次に、加藤産業の株主優待で知っておきたい2つの注意点を確認しておきましょう。

加藤産業の株主優待「2つの注意点」
株主優待はジャムのみで、利回りも低め
株主優待はつなぎ売りでも取得できる

その1:株主優待はジャムのみで、利回りも低め

加藤産業に投資して貰える株主優待はジャムのみと選択肢が無く、優待利回りも低めです。

GREEN WOOD手造りジャム自体は魅力的な商品ですが、個人的には「毎年 同じジャムを貰っていては飽きるのでは…」という懸念があります。

例えば、カタログギフトだとその時々で必要な物を自由に選べたり、クオカードだと利用可能店舗であれば好きな物を買えますよね。

株主優待の汎用性の高さを重視したいので、他の商品も含めた3,000円相当の品を選べたり、ジャムの中でも好きな種類を選べたりすると個人的には嬉しいところです。

ちなみに2024年9月時点の株価3,200円で加藤産業へ投資した時の優待利回りは1%弱と、それほど高くはありません。

その2:株主優待はつなぎ売りでも取得できる

加藤産業の株主優待は、信用取引を活用した優待クロス(つなぎ売り)でも取得することができます。

優待クロスとは株主優待の権利落ち日に合わせて、同数の現物買いと信用売を行うことで価格変動リスクを排除し、手数料だけの負担でお得に株主優待を獲得する方法です。

加藤産業の時価総額は1,500億円前後とそれほど規模が大きな銘柄ではありませんが、auカブコム証券などを使えば優待クロスで株主優待を取得できるはずです。

個人的には、加藤産業を現物で長期保有したい銘柄の1つと考えており、その理由を次のパートで紹介します。

9869 加藤産業に投資したい「4つの理由」

次に、加藤産業に投資したい4つの理由を紹介します。

加藤産業に投資したい「4つの理由」
配当性向が27%と低く、増配余地が大きい
継続的な自社株買いを期待できる
潤沢な資産を保有しており、財務健全性が高い
株価は緩やかな上昇トレンドが続く

本記事の内容は、僕が投資判断を下した理由(記録)であり、投資助言や投資推奨などの意図は一切ありません。そのため、投資判断はご自身で下すようにしてください。

その1:配当性向が27%と低く、増配余地が大きい

加藤産業に投資したい1つ目の理由は、配当性向が27%と低く、今後の増配余地が大きいからです。

2024年8月9日に「株主還元方針の変更」を発表しており、その内容は下記の通りです。

(麥更前)
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要政策と認識し、収益力の向上と財務体質の強化を図りながら、安定的かつ業績に見合う適正な配当を維持いたします。
自己株式の取得については、資本効率の向上も勘案して、当社の業績や資本の状況、株式市場の状況など総合的に判断し、必要に応じて機動的に実施いたします。なお、保有する自己株式については、将来的な活用方法など総合的に判断し、必要に応じて消却を実施いたします。

(麥更後)
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要政策と認識し、収益力の向上と財務体質の強化を図りながら、安定的かつ業績に見合った累進配当政策※1を採用し、原則として1株当たり 20円を上限とする増配を毎年継続的に実施※することで、配当性向を段階的に40%まで引き上げる目標といたします。

こちらの要点をまとめると、下記の通りです。

加藤産業の株主還元方針の変更点
・累進配当による株主還元へ変更
・毎期20円ペースで増配する
・配当性向を40%水準まで引き上げる

そこで2024年9月期の業績と株主還元について確認すると、下記の通りです。

EPS(1株利益):429円
DPS(1株配当金):120円
配当性向:27%

かなり控えめな予想として、2024年9月期と同水準のEPSが続くと仮定します。するとDPS(1株配当金)は最終的に171円まで引き上げられ、20円ペースの増配は2027年9月期あたりまで続くことになります。

2024年9月時点の株価4,200円で加藤産業へ投資した場合、取得単価から計算した配当利回りは4%となります。株式を長期保有することで配当利回り上昇の恩恵が受けられることが分かりますね。

171/4200*100‎ = 4.071429

もちろん、これは加藤産業の2024年9月時点のEPSが続くと仮定した場合なので、今後の業績によっては下振れすることもありますし、業績成長すると上振れすることも考えられます。

いずれにせよ、加藤産業は株主還元の拡充方向に動いていることは間違いなさそうなので、株式を長期保有することで大きなメリットを得られるはずです。

その2:継続的な自社株買いを期待できる

加藤産業に投資したい2つ目の理由は、継続的な自社株買いを期待できるからです。

マネックス証券の銘柄スカウターで加藤産業が過去に行った自社株買い実績を確認すると、下記の通りです。

取得期間 自己株式取得額
2016年02月09日~2016年03月08日 2,113
2018年08月10日~2018年10月23日 1,814
2019年02月14日~2019年05月15日 1,750
2021年02月15日~2021年03月15日 3,152
2022年02月14日~2022年03月14日 3,005
2023年11月13日~2023年12月11日 9,103
このように、これまで毎年のように自社株買いによる株主還元を行なっている企業であることが分かります。

そして2023年9月期にはPBR1倍割れを意識してか、総還元性向100%という大規模な自社株買いを実施しているので、東証の要請にもしっかりと対応する企業であることが分かりますね。

その3:潤沢な資産を保有しており、財務健全性が高い

加藤産業に投資したい3つ目の理由は、潤沢な資産を保有しており、財務の健全性が高いからです。

潤沢な資産とは、政策保有株式と現預金を指します。

まず、政策保有株式に関しては、2023年9月期の有価証券報告書から「株式の保有状況」を確認すると約400億円相当の株式を保有していることが分かります。

具体的な銘柄は、イオンや三井物産、味の素、ハウス食品グループ、住友商事、三菱商事などです。

加藤産業の株式保有の方針としては、販売先や仕入れ先等の取引先の株式を良好な取引関係を構築するために株式を取得しており、純投資目的での株式保有は行わないとのことです。

2024年2月に提出した四半期報告書には、加藤産業が保有する三菱商事18万株と三井物産92万株の株式を売却に動く方向と書かれています。この売却資金は株主還元に使われる可能性が高いので株価にとってプラスです。

また、加藤産業は現金を850億円ほど保有しており、有利子負債が600億円台後半であることを考慮すると、実質無借金経営で安全性の高い経営を行っていることが分かります。

政策保有株式が400億円ほど、そして現金を850億円保有しており、合計は約1250億円です。加藤産業の時価総額が約1,500億円なので、資産性の観点から株価は割安水準のように感じます。

その4:株価は緩やかな上昇トレンドが続く

加藤産業に投資したい4つ目の理由は、株価は緩やかな上昇トレンドが続いているからです。

トレーディングビューで加藤産業の株価推移を確認すると、
過去10年間で株価は約3倍に上昇していることが分かります。

ですが株価の日々のボラティリティは比較的低いため、配当金や株主優待を貰うことを目的とした投資にぴったりの銘柄と言えます。

業績が緩やかに成長し続けていることに加えて、今後は増配や自社株買いによる株主還元の拡大もプラスに機能するはずなので、株価はこれらを評価して更に上昇する可能性が高いと僕は考えています。

9869 加藤産業に投資する前に知りたい「3つの懸念」

加藤産業の株主優待が魅力的とは言え、貰える株主優待の価値以上に株価が下落してしまっては全く意味がありません。

そこで本パートでは、加藤産業に投資する前に知っておきたい3つの懸念を確認しておきましょう。

加藤産業に投資する前に知りたい「3つの懸念」
総合利回りは3.49%と平均的な水準
日本の人口は減少傾向にあり、業績に逆風
政策保有株式の持ち合い解消による売り圧力

その1:総合利回りは3.49%と平均的な水準

加藤産業の総合利回りは3.49%と平均的な水準のため、リターンが高いとは言えません。

2024年9月の株価4,200円から計算した加藤産業の利回りは下記の通りです。

・総合利回り 3.49%
2.85+0.64 = 3.49
・配当利回り:2.85%
120/4,200*100 = 2.85714

・優待利回り:0.64%
2700/420,000*100 = 0.64286

この総合利回り3.5%が良い悪いかの判断に悩む人は、他の投資対象と比較してみると良いでしょう。

加藤産業の株価は2,000年に700円前後でしたが、2024年現在は4,200円前後で推移しています。

過去25年間で年平均リターンを計算すると約7.5%となり、こちらに総合利回り3.5%を加えると約11%となります。

例えば、インデックス投資の過去30年間の年率平均リターンは下記の通りです。

全世界株式(オルカン)
年率7〜8%前後

米国株・SP500
平均10%前後

加藤産業とSP500を比較すると、年平均リターンはそれほど変わらないことが分かります。

にも関わらず、加藤産業は個別株なので年4回の決算や株価チャートをチェックする手間がかかったり、個別株のリスクも発生します。

また、株主優待銘柄の総合利回りが最も高くなるのは100株であることが多く、加藤産業もこれに当てはまります。

つまり、総合利回り3.5%前後が狙えるのは100株までで、101株以上は株主優待が割り当てられない保有分となるため、総合利回りが低下します。

加藤産業の配当金や株主優待、株主還元姿勢は魅力的です。

とは言え、投資には「リスクを抑えつつ、限られた資金を効率的に活用して高いリターンを出すこと」が求められるので、この辺りを考慮した上で投資先を選定するようにしましょう。

その2:日本の人口は減少傾向にあり、業績に逆風

日本の人口は減少傾向にあるため、食品商社の加藤産業の業績にとって逆風です。

これは説明いらずで、減り続ける食需要を既存の商社で奪い合うことになるからです。

銘柄スカウターで食品商社を調べると、上場企業だけでも19社もあり、例えば三菱食品や伊藤忠食品、西本ウィズなどが挙げられます。

三菱食品は三菱商事、伊藤忠食品は伊藤忠商事と、それぞれ大手総合商社との繋がりが強い企業なので、これらの競合を相手に加藤産業が業績を伸ばし続けられるかが今後の課題になりそうですね。

マネックス証券の銘柄スカウターでは競合他社の投資指標を横並びに表示して比較することができます。

同じ業種の銘柄のPERやPBR、ROE、自己資本比率などの重要指標を比較するだけでも銘柄分析への理解度が深まるはずなので、気になる方はお試しください。

その3:政策保有株式の持ち合い解消による売り圧力

政策保有株式の持ち合い解消で発生する売り圧力で株価の下落に繋がる懸念があります。

これは東証が進める取り組みで、投資リターンが見込みにくい持ち合い株を売却して資本効率を高め、株主による経営監督機能が低下している状況を改善したいという目的があります。

そこで加藤産業の大株主一覧を四季報で確認すると、下記のような株主構成となっています。

加藤産業の大株主一覧
・三井物産
・三菱商事
・キューピー
・ハウス食品G本社
・カゴメ

このように政策保有株式として保有しているであろう企業がずらりと並びます。大株主に名を連ねる企業らが政策保有株式の売却を決めた場合、市場に大量の売り注文が発生することになり、加藤産業の株価は下落する可能性があります。

トヨタや大手損保などは株式の持ち合いを解消する方向に動いており、この流れは今後も続くと思われるので引き続き注視したいです。

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